沿岸海洋調査株式会社
みなさん、ずいぶん前に年が明けました!タキオニッシュグループの初夢は見てくれましたか?
私? 私は見ていませーんよっと(*’▽’)ヘヘ
ということで、本年もどうぞよろしくお願いいたします!
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さて、今年最初の五十三次を飾ってくれるのは、沿岸海洋調査株式会社の取締役 木全さんです。
沿岸海洋調査株式会社(以下、COR)は、以前の五十三次で紹介した海洋エンジニアリング株式会社(vol.5)とは少し違った専門性を持って海洋環境調査を行っている会社です。
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松山さん:中の人さん、インタビューでかなり弾けてたけど、会社のこと相当詳しく聞けたんじゃない?
中の人:・・・・・・・・・(*’▽’)
木全さんから繰り出される魅力的なアイテムの数々に翻弄される中の人。
果たして、無事 CORのことを聞きだせたのか?!
◆「基礎データ」を「確かな情報」へとつなぐ◆

中の人:木全さん、こんにちは。本日は、CORについて教えてください。聞きたいことがたくさんあるので、どうぞよろしくお願いします!
木全さん:はい、こんにちは。何を聞かれるんだろう。笑
よろしくお願いします。
中の人:まずはCORの成り立ちについて教えてください。
木全さん:はい。私たちは「沿岸海洋調査株式会社(COR)」の名の通り、海の沿岸域を知るための調査を専門とする会社です。実は、私たちも昭和47年の発足当初は別資本の会社で、技術サービス部門と環境調査部門の2つの事業体制でした。その後、技術サービス部門を分社してタキオニッシュグループの事業会社に統合、今は海洋環境調査に特化した法人格になりました。
中の人:スタート当初は別会社、もはやタキオニッシュグループあるあるですね。
中の人:CORは海洋環境調査に特化しているとのことですが、そのような会社自体が珍しい気がします。COR独自の切り口で、事業について教えていただけますか。
木全さん:独自の切り口、そうですねぇ。世の中はAI技術やシミュレーション技術の進化のおかげで、例えば天気予報のように確度の高い情報予測ができるようになってきました。そしてこの情報予測で出される数値は、そのベースとなる数多くの観測データを基にした、つまり基礎データの積み上げによるものです。
中の人:たしかに。AI技術に慣れてしまうと忘れがちですが、観測情報の土台は“基礎データ”の積み上げですよね。
木全さん:そうなんです。基礎データがゼロだと、いくら予測技術が進化しても情報化するための計算ができないんですね。
実は、沿岸域では「波」「流れ」「海底地形」は知られていないことが多くて、予測土台となる基礎データは、いまだ極めて乏しいと言っても良い。
私たちCORは、そのベースとなる基礎データを提供するためのあらゆる技術と経験を持っています。つまり、「基礎データがゼロ」の状態から「確かな情報」へと昇華していく役割を担っています。
中の人:ありがとうございます。「データ」という切り口でお話しを聞くことで、CORについての解像度が、より高まりました。
木全さん:中の人さん、タキオニッシュグループの理念は、”FACTの追求”ですよね。
中の人: はい、その通りです。
木全さん:私たちは、基礎データ、つまり”FACT”を積み上げることによって、”FACTの追求”を行っています。
中の人: ! 木全さん、その通りですね!私としたことが!CORとしてのFACTの追及ですね!キリッ
◆身近なところでも活かされるCORの技術◆
中の人:さぁ、気を取り直して。つづけて、どのような基礎データを観測調査しているのか教えてください。
木全さん:はい、私たちは大きく3つの観測調査をしています。
まず1つめは、波浪・流況等の海洋物環境調査です。これらは、海洋構造物の設計に欠かせない基礎データになります。
次に2つめは、地形・地質の調査です。かなり精密に調査ができるようになったので、海底の様子を正確に表現できます。
最後に3つめ、海洋環境調査です。ここでは、最新技術と海洋環境の専門知識を活用して、水質・底質・生物、気象・海象、波浪・流況、地形・地質などに関する総合的な調査を行っています。


中の人:海洋エンジニアリング株式会社のインタビューを思い出しながら聞くと、イメージしやすいですね。
私たちの生活の中で身近に感じられるものはありますか。
木全さん:そうですねぇ、身近なところだと漁協さんへの協力かな。CORの海洋調査は漁協さんに傭船などの協力をお願いすることがあるんです。漁協さんからは「自分たちが欲しい情報にもつながるWinWinな関係」と言ってもらっています。
中の人:そのお話、興味深いです。
木全さん:何かというと、漁協さんからの希望で海底地形図を提供したり、取得した波の流れなどの観測データを漁協さんがいつでも見られるように、常時データが映る大型モニターを設置しました。
中の人:海洋調査には、地形・地質、潮況、波浪、水温や塩分濃度などが含まれますものね。漁に直接的に関わる情報ということですね。
木全さん:そうです。それらのデータをリアルタイムに見ていただくことによって、地元の漁業者さんからは、「これまでは港から10kmほど離れたところまで船を出さないと漁ができるかどうかの判断ができないことがあったけど、港で判断できるようになった。」と喜ばれました。
中の人:それは喜ばれますね。
木全さん:そうですね。特に流向流速が複雑な時は、多いときは1週間ほど出戻りを繰り返すこともあるそうなので、CORの技術が活きたケースですね。
中の人:効率的な漁は漁獲高にも影響しますよね。今度から魚をいただく時には、漁業者さんだけでなくCORのことも思い出しますね。
◆幅広い調査に協力する調査部隊-埋蔵金も探しちゃう?!-◆
中の人:木全さん、実は私、もう聞きたくて聞きたくて、うずうずしていることがあるのですが。。。話題を変えても良いですか?
木全さん:来たね。笑 良いですよー。
中の人:かなり前ですが、TBSさんの番組で、”東京湾に眠る徳川埋蔵金を調査する”というものがあったんですけど、その調査船に木全さんが調査チーフとして乗船されてましたよね?確か、埋蔵金を乗せた沈没船を探す・・・という内容だったような。
木全さん:あったあった!8年ほど前になるかな。TBSさんで放送した林修先生の「林修の歴史ミステリー」に協力させていただきました。
中の人:木全さん、とっても良いお顔で乗船されていましたね。海底状況を予測されたり、モニターに映るデータやダイバーさんと船上をつなぐ役割をされていて、すっごくかっこよかったです。サンエイ・マリン株式会社の東さんが、海にソナーを沈める姿も映っていました。
木全さん:うんうん。埋蔵金は見つけられなかったけど楽しかったねぇ。一番印象に残っている仕事かも。
中の人:残念ながら海底に沈んだ砲弾を見つけて、安全確保のために調査を中断したんでしたよね。でも、そのことを海上保安部へ報告して海上自衛隊が引き揚げて…の部分を観て、調査の付加価値のように思いました。
木全さん:そうですね。海底環境の保全は私たちの生活の安全にもつながるので、埋蔵金は見つけられなかったけど、良い仕事ができたと思っています。
◆海底調査はワクワクの宝庫◆
中の人:海底調査を進めていくと、おもしろい発見がたくさんあると思います。何かエピソードはありますか?
木全さん:ふふふ。中の人さん、ちょっとこれ見て。



中の人:待ってましたー!木全さんのお手元、ずっと気になっていましたー!
木全さん:はい、黒曜石と石英粒。
中の人:黒曜石! 別名「烏石」!こんなに小さいのは初めて見たかも。石英も小さいですねぇ。石英の透明度が高いものが水晶なんでしたっけ。 私、実は少しだけ鉱物が好きで、加工後の鉱物を数点、図鑑も何冊か持ってます。
木全さん:お!キラキラ系?笑 ダイヤモンドとか?笑
中の人:ダイヤモンド、好きです。笑 ください。笑
私が持っている鉱物で一番のお気に入りは、針状のルチルが入った水晶です!角度によっては虹色の光彩も見えるんですよ!いつか樹枝状の模様が入ったカルセドニーを手に入れたいです。無機物なのに有機物の姿を含有している見た目なんて、ロマンを感じませんか?!!!あと鉱物って、絵の具にも使われてますよね。今は流通が抑えられていますけど。そう、岩絵の具!幼い頃に、岩絵の具を使って描かれた日本画の特集をテレビで観て感動して!お砂場に画用紙と水を入れたバケツを持ち込んで真似っこしたけど、今思えば”それってただの泥水じゃん!”ってハハッ。西洋の有名な絵画でも使われてますよね!いつか実物を観に行きたいと思っていて、それでそれで…
木全さん:ふふふ。良い反応。すごい喋る。そして早口。笑
中の人:わー、ごめんなさい。荒ぶりました。話しを戻します。笑
私が知っている黒曜石よりも随分と小さいですけど、これはどちらで?
木全さん:この黒曜石も石英粒も底質調査の時にとれたものです。黒曜石等の鉱物は特徴的なものですから、調査を進めていくとどこの地域の火山から流れてきたものかが分かります。
中の人:黒曜石って、噴火した火山の溶岩が水と接して急速に冷やされてできるんですよね。
木全さん:そう。そして黒曜石ができた後に浸食されて海に出て、海流に乗って移動するんですよ。こんなに小さなサイズになるまで自然研磨されながら流れてきたんだね。
中の人:ふむぅ。深く思いを巡らせたことはなかったんですけど、そう考えると面白いですね。これまで起源を辿ったことなかったなぁ。こんなに小さな黒曜石の背景に長い長い旅路があると思うと、空想が捗りますねぇ。黒曜石が、時間と空間の概念を体現してくれている気がします。
木全さん:ふふふ。次、ほらこれ。
中の人:わっ!可愛い!まさかの微小貝?!
木全さん:可愛いでしょう。これも調査でとれました。
中の人:私、こんなに近くで本物の微小貝を見るのは初めてです。
木全さん:微小貝は綺麗な環境でしかとれないからね。
中の人:微小貝から日本海成立の歴史を説明でき得るとも言われていますよね。こんなに可愛い貝殻が歴史の証人になるなんて。
くぅ~。しびれるぅ。 ねっ!木全さん!
木全さん:はいはい、そうだね。笑

◆未知との遭遇を楽しむ-経験が活きる海底調査-◆
中の人:ところで、木全さんが海底調査に興味を持ったきっかけは何ですか?
木全さん:他のグループ会社のインタビューと雰囲気が変わってきているけど、大丈夫?
中の人:いいです!今回は思い切り趣味に走ります!鉱物が出てきた時点で、覚悟を決めました!
木全さん:あ、そう。笑
私の専門は地学だけど、地学は幅広くて、色々な調査をしなければいけないんだよね。学生の頃、マンガンノジュールの調査で大学の船に乗って南太平洋を一周したのだけど、それが海底調査にのめりこむきっかけになったかなぁ。昔から海洋開発には興味があって、そのつながりで海洋資源にも興味を持っていました。
中の人:マンガンノジュールですか。以前読んだ元素戦略の書籍に出てきました。まさに海洋資源。こんな身近に近しい方がいらしたとは、ちょっと鳥肌立ってます。
海底調査と言えば、私はたまにサンプルリターンのライブ配信を観ることがあるんです。大きな調査船で、すごく長いケーブルを使って、海底にソナーやROVを沈めている様子は圧巻です。
木全さん:そうそう、そんな感じ。私たちのマンガンノジュール調査は、ドレッジという採泥器を数千メートルの海底に降ろして引きずって、資源サンプルを引き揚げていました。“大きな鉄のバケツを海底で引きずる”と考えてもらえればイメージしやすいかも。ちなみに、私が関わったマンガンノジュール調査は、55年くらい前のもので、国として初めての試みでした。
中の人:えええ!国内初ですか?すごい!
木全さん:700トンを超える船で、3~4年かかったかな。3班体制で、1日24時間を4時間ずつ、2回ワッチするローテーションを組んで調査しましたね。佐藤孫七先生という海洋観測・調査の神様みたいな人が船長を務める調査船でした。
中の人:それは壮大な調査でしたねぇ。
55年前のソナーの技術は、今よりも充実していなかったように思います。どのようにサンプルを探し当てていたんですか。
木全さん:まさに手の感覚。ドレッジを引きずる手の感覚で「何かある!」と分かるの。

中の人:ひゃー!大きな鉄のバケツを、潮流がある中で、しかも海底で引きずってるんですよね。常に力抵抗があると思うし、その中でちょっとした変化を感覚で見極めるなんて!
木全さん:孫七船長は、「手に伝わってくる感覚で海面下数千メートル先のドレッジにマンガンが入ったかどうかが分かる」とおっしゃっていて、ドレッジが海面にあがってくると本当にマンガンノジュールが入っていて感動しました。
中の人:職人の域ですね。
木全さん:色々な海底調査をしたからね。どんどん感覚が熟達していきます。
海外の調査にも行ったなぁ。パラオ島近くのナンマドールの遺跡からムー大陸を探そうとか。
中の人:わお!超古代文明大陸!考古学の世界!
木全さん:ヤップ島で実物の石貨も見たよ。1メートルくらいの石が持ち主の家の前に置かれてあって、持ち主がかわるごとにどんどん移動していくの。
中の人:おもしろい!本当にたくさんの調査を経験されてきたのですね。
木全さん:そう。だから何か調査をする時には、「必要な調査船の規模・調査機材・ダイバーの人数・調査期間・費用」、すべてがすぐに分かります。
中の人:まさに、CORの事業じゃないですか!
木全さん:はい、調査依頼が来た時には私の経験が役に立てていると思います。
中の人:CORの事業は、木全さんの経験によって奥行きが増していると言っても過言ではない気がしました。
そして、良い感じにいつものインタビューに戻ってきました。笑
木全さん:それは良かった。笑

中の人:CORの皆さんが、調査をする際に心がけていることはありますか。
木全さん:もちろんありますよ。
それは、「依頼された調査だけが調査ではない。調査をする際に不思議に思ったものや疑問に思ったものは、何でも調査する。海底はいまだに未知な世界で、新しい発見の宝庫だということに留意して調査する。」ということですね。
これは私自身の心がけでもあり、皆にも伝えています。
中の人:常に世界を広げるマインドで臨む、とういうことですね。
◆CORの”FACT”が紡ぐ”ACT” ― FACT to ACT ―◆
中の人:この流れできれいに締めますね。最後にCORの今後の展望について教えてください。
木全さん:はい。まず、今後の沿岸海域の調査需要という観点では、私たちCORには3つのことが求められると考えています。

中の人:教えてください。
木全さん:はい。
1つめは、気候変動による海面上昇や激甚化する台風、高潮への対策。
2つめは、海を利用する風力発電や水産業の高度化に伴う需要への供給。
3つめは、海域の動的変化を捉えるリアルタイム観測。
中の人:どれも私たちが持続可能な社会を作るための重要な課題ですね。
木全さん:そのとおりです。冒頭にお話ししたとおり、予測技術が高まっても基礎データがなければ情報予測はできません。つまり、私たちは、これからも基礎データという”FACT”を確実に積み上げていき、さらに広範囲で高頻度の観測をいかに安価に提供できるかを追及していきたいと考えています。
中の人:CORとしてのFACT to ACTですね。
私も、CORとしてのFACT が、私たちの未来のACTへ繋がっていくことを願っています。
本日はどうもありがとうございました。
木全さん:ありがとうございました。
◆沿岸海洋調査株式会社 https://engan.jp/wordpress/ ◆
●沿岸海洋調査株式会社 取締役 木全 裕昭 (きまた ひろあき)●
一見クールなその表情、地学系の話になると瞳のきらめき、さながら10,000ボルト。
キラッキラした表情はまるで少年。
ここだけの話し、中の人からは“ミスターチャーミング”と呼ばれているとか?
鉱物だけでなく植物にも造詣の深い木全さん。
中の人とおすすめの博物館、植物園の情報交換で盛り上がってくれましたよ(*’▽’)

●木全さんの石コレクションの一部●


見てください、見てください。個性的で可愛らしい石がたーくさん。
それぞれ表情がちがって愛らしいですねーo(*’▽’)o
松山さん:中の人さん、違う方向に弾けたんやな。
中の人:すみません。鉱物、抗いがたし仕方なし。。。でした(*’▽’)ゞ